「血液をさらさらにする油」とは

栄養科コラム

「油と脂の違い」
・一般的に常温で液体のものを「油」固体のものを「脂」といい両方合わせて「油脂」と呼んでいます。気温の低い地域で生息している魚は「油」が多く体温の高い哺乳類や植物は「脂」が多くなっています。
「油脂の成分」
・油脂の主成分は中性脂肪です。中性脂肪は脂肪酸で構成されていて固体や液体で存在しています。その理由として脂肪酸には溶ける温度が高く室温では固体の状態である「飽和脂肪酸」と低い温度でも溶け、10〜20℃程度の室温では液体である「不飽和脂肪酸」があるからです。そのことから「油」と「脂」が存在するのです。
「体内における油脂成分の働き」
・脂質は三大栄養素の中で一番、高エネルギー物質なので肥満を気にする方は敬遠しがちな栄養素であると思います。しかし体内で作ることのできない必須脂肪酸も含まれているので極端に制限することは栄養バランスを崩す原因にもなるので注意が必要です。
必須脂肪酸にはリノール酸、γ-リノレン酸、アラキドン酸、α-リノレン酸、EPA、DHAなどがあります。
その中でもEPAは血液をさらさらにして血栓や梗塞を防止する働き、DHAは健脳作用と脳の老化を防ぐ効果があるといわれています。
油脂の摂取は量というよりは質が非常に重要で摂取の仕方によっては健康に悪影響をもたらすこともあるため、油脂の種類を十分理解したうえで摂取するように心がけましょう。
「油脂の摂取で気をつけたいこと」
・油脂は酸化されると毒性を発揮します。油脂が酸化したかどうかの判断はアブラ特有のにおいと食べたときの胃腸の調子で分かります。胃腸の調子で分かる理由は、酸化した油脂は食べた後に胃もたれや胸やけなどの症状が出やすいからです。それらの症状が出たときに摂取した油脂は調理などに利用しないほうがいいです。
海外で摂取量の規制がされている「トランス脂肪酸」ですが日本では摂取量自体が多くないので問題視されていませんが摂取量は控えたほうがよいとされています。
「EPAとは」
海にすむ生物だけがEPAを持っています。EPAはプランクトンやオキアミなど海にいる生物の体内でつくられ人を始めとする哺乳類では合成されません。EPAを長期間摂取すると、血液成分(赤血球・血小板)やからだ全体の細胞にとりこまれます。その結果、血液を固まりにくくし、血管の弾力性を保つことが確認されています。
EPA含有量の多い魚は
 秋刀魚 鰤 はまち いわし マグロ(脂身) 鯖 など
特に鯖には多くのEPAが含まれています。
近年、食生活の欧米化により日本人のEPA摂取量は年々減少しているといわれています。ストレスなども加わって、動脈硬化や心筋梗塞の疾病率が増加傾向になっています。
EPAを積極的にとり「血液をさらさら」にしてみましょう。
「血液をさらさらにする油」とは?

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