基準値って……

検査のお話

検査結果が「基準値」から外れていたら「異常」「病気」なの?

患者さまの中には、「結果に異常のマークがついているんだけど、病気なの?」と、
不安そうに検査結果を持ってこられる方がいらっしゃいます。
そもそも検査結果はどのようにみればいいのでしょうか?


例えば、基準値が100〜200という項目があったとします。
仮に、201という結果が出た場合、たった1しか超えていないのにもかかわらず、結果には異常を示すマークがついてしまいます。
しかし、普段からその項目の値が200前後の方であるならば、それは「異常値」とは考えられません。
ところが、普段の値が100前後の方が201という値ならば少し意味合いが変わってくるのはおわかりかと思います。


「基準値」とは「正常な人の95%に当てはまる値」という定義で定められた値です。
正常な人でも、その5%は「基準値」に当てはまらないのです。
これは、私たちの体型や顔のつくりが一人一人異なるように、体質も異なるからです。
生まれつき赤血球の数が多い人もいれば、酵素の活性力の低い人もいるということです。

また、何種類もの検査項目のうち、「異常値」を示した一つの項目だけを見て、正常であるか異常であるかを自分で判断するのは危険です。

大切なのは、「基準値とどれくらい違うか」ではなく、「普段の値とどれくらい違うのか」ということです。


        
基準値の考え方


日本臨床検査所協会HPより抜粋



医師が病気を診断する時には、いくつもの検査データや過去の結果をもとに、総合的に判断しています。

これらの事をふまえると、検査結果と「基準値」や「基準範囲」を見比べる時には、その値や範囲に捕れ過ぎずに、あくまでも一般的な目安だと考えた方がいいでしょう。

検査結果が「基準範囲」から外れていたからといってすぐに「異常」「病気」と自分で決めつけるとこはせずに、医師に相談し判断に従っていただければと思います。


さて、この「基準値」「基準範囲」ですが、少し前までは「正常値」と表記されていたのをご存知でしょうか?
冒頭のように、「正常値を外れる=異常・病気」と思われてしまう方が多いために「基準値」という表記に変更されました。

今後はぜひ、「自分の基準値」に注目して結果をご覧になってみて下さい。

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