新型コロナワクチンについて

お薬の話

新型コロナウイルス感染症(COVID -19)は、2019年12月に中国湖北省武漢市の原因不明の肺炎の集団発生から始まり、世界的な大流行に至っています。 感染拡大を防ぐ切り札としてワクチンが開発され、2020年12月に初めて英国で、米ファイザー社と独ビオンテック社が開発した新型コロナワクチン接種が開始されました。新型コロナワクチンには、重症化や発症を防ぐ効果があります。我が国でも、2021年2月から医療従事者への優先接種が始まり、4月からは自治体ごとに65歳以上の高齢者を対象に接種がスタートしています。その後は、高齢者以外で基礎疾患を有する方や高齢者施設等で従事されている方、それ以外の方へと順次接種開始予定です。

新型コロナワクチンのうち我が国で承認されているものは、以下のとおりです。

開発メーカー ワクチン種類 接種スケジュール 承認日 国内接種状況
ファイザー社 mRNAワクチン 3週間間隔 2回 2021.2.14 接種中
モデルナ社 mRNAワクチン 4週間間隔 2回 2021.5.24 接種中
アストラゼネカ社 ウイルスベクター
ワクチン
4~12週間間隔 2回 2021.5.24 未定(2021.5現在)

新型コロナワクチンは遺伝子を利用した新しい手法で開発されました。

ワクチンのタイプには様々な種類があります。
これまで我が国で使用されていたワクチンは『生ワクチン』や『不活化ワクチン』『組み換えタンパクワクチン』という種類のもので、ウイルスの一部のタンパク質を人体に投与し、それに対して免疫が出来る仕組みでした。

新型コロナワクチンは以下のように新しい仕組みのワクチンです。
mRNA(メッセンジャーRNA)ワクチンではウイルスのタンパク質を作るもとになる情報の一部を注射します。人の身体の中で、この情報をもとに、ウイルスのタンパク質の一部が作られ、それに対する抗体などが出来ることで、ウイルスに対する免疫が出来ます。

ウイルスベクターワクチンは、人体に無害な改変ウイルスを「運び屋」(ベクター)として使用し、新型コロナウイルスの遺伝子をヒトの細胞へと運び、ベクターを介して細胞の中に入った遺伝子から、抗原となる新型コロナウイルスのタンパク質が作られ、免疫が構築される仕組みです。

新型コロナワクチンは、明らかな発熱がある方や重い急性疾患にかかっている方、ワクチンの成分に対して重度の過敏症を起こしたことがある方は受けることが出来ません。また、現在何らかの病気で治療中の方(心臓病、腎臓病、肝臓病、血液疾患、免疫不全で治療中の方、血液をサラサラにする薬を服用中の方など)や薬・食品に対する重いアレルギー症状が出たことのある方、けいれん(ひきつけ)を起こしたことがある方は注意が必要です。接種に不安がある方は、かかりつけ医等にワクチンを受けて良いかご相談ください。

当院でも、新型コロナワクチン接種を行っております。ご希望の方はお問い合わせください。

2021年7月 薬剤科

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