糖尿病と水分補給

栄養科コラム

 春になると日に日に気温が上昇し冷たい飲み物を飲む機会も増えてくると思います。糖尿病の方は特に、清涼飲料水の飲み過ぎが原因で著しい高血糖になることがあり、やがては昏睡状態に陥ることもあります。

なぜ、そうなるのでしょうか?
それは清涼飲料水の中には糖分がたくさん含まれているものが多いからなのです。
では、スポーツドリンクで考えてみましょう。
寒い季節であれば運動で消費されるブドウ糖(糖分)と発汗で失われる水やイオン(ナトリウム・カリウム等)をスポーツドリンクでバランスよく補充できるかもしれませんが、暑い季節に大量の発汗で失った水分をスポーツドリンクで補おうとすると、糖分をとりすぎてしまうことになります。運動をせずに汗をかいたときも糖分の多いスポーツドリンクは適さないことになります。
それでは「無糖・ノンシュガー・糖分ゼロ」などはどうでしょうか。

以前にも「豆知識」で紹介いたしましたが「無糖・ノンシュガー・糖分ゼロ」は「100ml当たり糖分が0.5g未満」の事です。必ずしも0ではないことを忘れないでください。
また、コーラー・サイダーなどの炭酸飲料は約11%の糖分が含まれています。
冷えていると炭酸飲料はそれほど甘さを感じないと思いますが、少しぬるい状態で飲むと結構甘かったりしますよ。

 一般に血糖値が高くなると、喉が渇きます。その時に清涼飲料水を飲むと一時的には喉の渇きはおさまりますがすぐに血糖が上昇し、ますます喉が渇きます。糖尿病の方がその悪循環で血糖値をどんどん上昇させてしまうと、脂肪からできる酸性物質であるケトン体が血液中に増え、ひどくなると脱水状態で意識がなくなることもあります。

糖分を含む清涼飲料水の飲み過ぎは、糖尿病をもつ人にとって大敵なのです。
インスリン自己注射をしている人やスルホニル尿素(SU)剤など低血糖を引き起こす可能性のある薬を服用している人は運動中に低血糖を防ぐために糖分を含むスポーツドリンクを利用することができますが、目安としては1時間に200ml程度で適量といえます。

緑黄色野菜には血糖値や血中脂質を改善する働きがあると言われていますが、緑黄色野菜の代わりに野菜ジュースを飲んでもそのような効果が期待できないと考えられます。果物の代わりに果汁の清涼飲料水を飲むと血糖値が上がりやすくなってしまいます。

やはり、水分補給の基本は水またはお茶で補うことが大切です。
当院では毎週水・木曜日に糖尿病外来があり専門の医師が診察をしています。
栄養相談も随時受け付けておりますので、お気軽にお申し付けください。

※栄養科コラムに掲載しておりました「80Kcalの献立」は院内広報誌「ささえあい」に掲載を移行することになりました。
  「地域連携室のご案内」のページ下部のバックナンバー(こちら)よりご覧ください。

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