お薬の話
最近、帯状疱疹ワクチンに関するテレビCMやポスターなどを見かけることが増えたのではないでしょうか。
というのも、この帯状疱疹ワクチンが令和7年度から予防接種法に基づく定期接種の対象となったため、それが影響しているようです。
(令和4年のコラム でも取り上げましたが、当時より随分変更となっています。)
今回は、その帯状疱疹ワクチンの最新情報を中心に説明していきたいと思います。
過去に水ぼうそう(水痘)にかかった際に体の中に潜伏した水痘帯状疱疹ウイルスが免疫低下などで再活性化することにより、時に痛みを伴う水ぶくれや発疹などが帯状に現れる病気で、日本人成人の90%以上の体内に潜んでいると言われています。80歳までに約3人に1人が発症するとされ、50歳代から70歳代での発症が多くみられますが、実際には若い人に発症することもあります。抗ウイルス薬や鎮痛薬等で治療をしますが、治療が遅れると合併症や後遺症のリスクが高まるため、出来るだけ早く治療を始めることが重要です。
最も代表的な合併症や後遺症は帯状疱疹後神経痛で、皮膚症状が治っても数カ月にわたって痛みが続くことがあり、50歳以上の罹患者では約2割がその神経痛へ移行するとされています。また神経の流れに沿って障害をおよぼし、他にも目や耳の神経が傷つけられ視力低下や難聴を引き起こすことがあるため、日常生活に支障をきたしてしまう点に注意が必要です。
しかし、帯状疱疹ワクチンを接種することにより帯状疱疹の発症や合併症の重症化を予防・軽減することができます。
帯状疱疹ワクチンについてはこれまで、50歳以上の方が任意接種の対象で接種費用の一部を助成する自治体もありましたが、定期接種となった今年度(令和7年度)からは、基本的には65歳になる方が対象となりました。それ以上の年齢の方に対しては令和7年度から令和11年度で経過措置が行われ、決められた年齢で接種する機会が設けられています。
接種費用(自己負担額)はワクチンの種類によって、また自治体によっても異なります。詳細はお住まいの自治体の最新の情報をご確認ください。
現在使用できる帯状疱疹ワクチンの種類を比較してみました。
厚生労働省HPより一部改変
50歳以上の方に対する任意接種への助成の継続や終了は自治体によって対応が異なりますので、どのタイミングで接種するかは65歳未満の方もしっかり検討することをお勧めします。接種希望者は公的接種の一度きりの機会を逃さないようにご注意下さい。中には接種に不向きな方や接種できない疾患の方もいますので、主治医とよく相談して下さい。
当院で帯状疱疹ワクチン接種をご希望の方はこちら をご覧ください。
2025.7薬剤科
参考