慢性閉塞性肺疾患(COPD)の栄養管理

栄養科コラム

慢性閉塞性肺疾患(COPD)は近年、患者数や死亡率の増加傾向にある疾患です。
症状としては息切れ・咳・痰などがありゆっくりと進行していきます。これまでに「肺気腫」「慢性気管支炎」とされてきた疾患はCOPDの中に含まれます。COPDの発症に深くかかわりリスクを増大させる最大の要因は喫煙です。
また、たばこの受動喫煙も大きな危険因子になりますので、たばこをすわない人にとっても環境によっては気をつけなければいけません。

では、栄養管理はどうすればいいでしょうか?

COPDの患者さんは肺機能が低下しているため、呼吸に必要なエネルギーは健康な人に比べて増加しています。
しかし、肺胞の壁が壊れているCOPDの患者さんは、膨らんだ肺によって胃などが圧迫されているため、食欲がなくなりがちです。その結果痩せてしまうことが多いのです。

筋肉をつくるたんぱく質を始め、バランスのよい食事を毎日摂取するのはとても大切なことです。無理せず少しずつでもい
いから何回かに分けて食べると栄養不足にならずにすみます。

食事で摂取した栄養素を体内でエネルギーに変換するときには酸素が消費されて二酸化炭素が発生します。


栄養素   酸素   エネルギー   二酸化炭素

上記のように消費された酸素1に対して発生した炭酸ガスの量を「呼吸商」というもので表します。
「呼吸商」が高い食事では多くの二酸化炭素を体外に排出しなければなりません。
そこで「呼吸商」を低く抑え、肺が二酸化炭素を排出する仕事の負担をできるだけ軽くする工夫が必要です。

脂質は「呼吸商」も低く、また少量で多くのエネルギーを摂取できる便利な栄養素です。
バターやクリームまたはオリーブ油や胡麻油などを上手に利用し、エネルギーの補給をしましょう。
それでも食欲がないときは必要なエネルギーと栄養素を効率よく補給できる流動タイプの食品を利用するのも効果的です。適切な栄養補給をすることで、栄養状態の改善が期待できます。

流動タイプの食品とは医薬品扱いのものと食品扱いのものがあります。
主治医に相談して適切な栄養剤を選んでください。

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