マイコプラズマ肺炎

検査のお話

今年はマイコプラズマ肺炎が流行の兆しをみせているようです。

今回はそんなマイコプラズマ肺炎についてお話していきたいと思います。
マイコプラズマ肺炎グラフ図:東京都感染症情報センター
定点報告師疾病集計表より。
5年間のマイコプラズマ肺炎の報告です。
赤が今年(2016)の報告数のグラフです。
大流行と言われた2012年と同じようなグラフの移行がみられます。

[マイコプラズマ肺炎とは]
Mycoplasma pneumoniaeという細菌の仲間の一種によって引き起こされる肺炎です。
肺炎のなかでは10〜20%を占めているといわれています。
4年周期で大流行していたことから、『オリンピック病』ともいわれていましたが、近年はその傾向が崩れてきているようです。また、一般的な細菌性肺炎のときに効く抗生剤では治療できないことから、異型肺炎や非定型肺炎などとも呼ばれています。
6〜12歳の小児に多く、若い人の肺炎の原因として多いのも特徴です。

[症状]
発熱や全身倦怠感(だるさ)、頭痛、痰を伴わない咳などの風邪症状からはじまります。咳は少し遅れて始まりだんだんと症状が重くなります。咳は熱が下がった後も長期にわたって(3〜4週間)続くのが特徴です。 多くの人はマイコプラズマに感染しても気管支炎ですみ、軽い症状が続きますが、一部の人は肺炎となり、重症化することもあります。
一般に、小児の方が軽くすむといわれています。

[感染経路]
飛沫感染 : マイコプラズマ肺炎に感染した人の咳やくしゃみなどのしぶきが飛ぶことで感染。
接触感染 : 感染している患者との直接的な接触での感染。
の、ふたつがあります。
そのため、家族間や学校などの集団生活の場で感染しやすく、流行しやすい感染症です。
また、潜伏期間は通常2〜3週間程度と長く、マイコプラズマの人と接触してから
長い時間がたってから発症するので、感染源がどこかわからないことが多いです。

[検査方法]
マイコプラズマ肺炎は、肺炎というわりに聴診器で呼吸音を聞いても異常がなく早期診断が難しい病気といわれています。
採血でも、マイコプラズマの抗体を検査する方法もありますが、初期には抗体価の上昇が弱く、発病してから一週間後から陽性になるといわれ、また、感染後長期にわたって抗体が検出されるケースもあるので精度が高いとはいえません。
最近では咽頭拭い液を用いたマイコプラズマ抗原の迅速キット検査もあり、診断の補助に役立っています。

[治療方法]
風邪がこじれて細菌による二次感染をおこしたとき、一般的にはペニシリン系やセフェム系の抗菌薬を使用しますが、マイコプラズマ感染症にはこれらの抗菌薬は効果がありません。マイコプラズマは細菌の一種といわれていますが細胞壁をもたないため、細胞壁を壊して細菌を倒すこれらの抗菌薬は効果がないのです。
一般的にマイコプラズマ肺炎のときには
・マクロライド系
・テトラサイクリン系
・ニューキノロン系
などの、抗菌薬を用います。
基本的には、自然治癒で治る病気ですが長引かせないためにも処方されたお薬はきちんと飲みましょう。

[当院での検査]
当院でのマイコプラズマの検査は迅速キットを使用しています。咽頭拭い液を用い、マイコプラズマの細胞内の蛋白質の一つを抗原として検出する方法です。
45分と少々お時間はいただきますが、その日のうちに結果をお伝えすることができます。

マイコプラズマ肺炎の予防策

関連記事

「検査のお話」の記事一覧