糖尿病の治療薬

お薬の話

糖尿病は、一般に血糖値を下げるホルモンであるインスリンが分泌されない1型と、インスリンの分泌が不十分になったり、働きが悪くなる2型糖尿病に分けられます。
糖尿病の治療は、食事療法と運動療法が基本となりますが、それでも十分な血糖値のコントロールができない場合は薬物療法が行われます。
糖尿病の治療薬には、大きく分けて内服薬(経口血糖降下薬)と注射薬(インスリン、GLP-1作動薬)があります。今回は、主に2型糖尿病の治療に使用する内服薬の種類と副作用について簡単に紹介します。
◆経口血糖降下薬(内服薬)
 内服薬は6つに分類されますが、作用の違いから大きく3つに分けられます。インスリンの分泌を促進する薬・糖の吸収を遅らせる薬・インスリンの働きを改善する薬があります。
 血糖値やインスリンの分泌量などによって使用するお薬が決められます。1種類のお薬で薬物療法を行うこともありますが、いくつか組み合わせて使うこともあります。
 以下に経口血糖降下薬の種類と起こりやすい副作用などを紹介します。
 
<経口血糖降下薬の種類とおこりやすい副作用>
種 類 主な成分名(商品名) 主な作用 起こりやすい副作用
スルホニル尿素薬
(SU薬)
グリメピリド(アマリール®)
グリベンクラミド(ダオニール®)
グリクラジド(グリミクロン®)
すい臓のインスリン分泌を促進して、血糖値を下げる。 低血糖
体重増加
速効型
インスリン分泌促進薬
ミチグリニド(グルファスト®)
ナテグリニド(スターシス®)
速やかに短時間、すい臓のインスリン分泌を促進し、食後の高血糖を改善する。 低血糖
DPP-4阻害薬

ビルダグリプチン(エクア®)
アログリプチン(ネシーナ®)
シタグリプチン(ジャヌビア®)

すい臓からインスリンの分泌を促進するホルモン(インクレチン)の働きを強めて血糖値を下げる。 低血糖(他の糖尿病薬と併用した場合)、便秘、おなかが張るなど
α-グルコシダーゼ阻害薬
(α-GI)
ボグリボース(ベイスン®)
ミグリトール(セイブル®)
アカルボース(グルコバイ®)
小腸での糖質の消化・吸収を遅らせて、食後高血糖を改善する。 おなかが張る、おならの回数が増える、下痢、便秘など
ビグアナイド薬
(BG薬)
メトホルミン(メトグルコ®)
ブホルミン(ジベトス®)
肝臓で糖を作り出す作用を抑え、筋肉での糖の利用を高め、血糖値を下げる。 低血糖、下痢、吐き気、腹痛など
チアゾリジン薬
(インスリン抵抗性改善薬)
ピオグリタゾン(アクトス®) 脂肪や筋肉などでインスリンの効きをよくし、糖の利用を高め、血糖を下げる。 むくみ
体重増加
低血糖について
 血糖値が低くなりすぎる状態のことを低血糖といいます。内服薬(特にSU薬)やインスリン注射薬で治療している場合、低血糖に気を付ける必要があります。
  <低血糖の主な症状>
これらは代表的な低血糖の症状です。しかし、低血糖の症状には個人差があります。
低血糖になった時に、自分の低血糖症状を確認し、覚えておくようにしましょう。
<低血糖時の対応>
低血糖症状が現れたらすぐに糖分を摂ってください。
α-グルコシダーゼ阻害薬(ベイスン®、セイブル®、グルコバイ®など)を飲んでいる場合は、
必ずブドウ糖を摂ってください。
糖分の取り方など詳しくは、主治医の指導やそれぞれのお薬の説明書に従ってください。
<糖分の例>
<糖分補給に適さないもの>
 糖分をとっても低血糖症状が改善しない場合や症状が重い場合(糖分を摂れない、意識が低下するなど)は、必ず医療機関を受診して下さい。

 低血糖症状があらわれた時、すぐ糖分を摂れるように、普段から糖分を持ち歩きましょう。

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