高齢者の食事 〜フレイル・サルコペニア

栄養科コラム

フレイル・サルコペニアという言葉を聞いたことはありますか?現在、日本の一般高齢者のうちフレイルに該当する方が約10%、サルコペニアは10〜20%とされており、いずれも年齢を重ねるごとに割合が多くなっています。

○フレイル・サルコペニアとは?
フレイル(虚弱)…老化に伴い筋力や活動が低下している状態
           身体機能の低下だけでなく、閉じこもりがちになる(社会的)、意欲や認知
           機能の低下(精神的)など、フレイルは多面的な要素が含まれる。

サルコペニア(筋肉減少症)…加齢に伴う筋肉量、筋力、身体機能の低下
                  加齢以外にも、エネルギーやたんぱく質などの摂取不足
                  身体活動量の減少、疾患が原因になることもある。

フレイル・サルコペニアに該当する高齢者において、筋肉を大きくする(減らさない)ことは、介護予防や転倒予防にもつながるため、非常に重要です。そのために特に有用とされているのが運動と栄養です。筋力や筋肉量の改善には、運動と栄養単独の場合よりも、運動と栄養を併用した方が良いとされています。

○特に重要な栄養素とは?
たんぱく質・ビタミンDです。
たんぱく質:筋肉、内臓などをつくる栄養素。肉・魚・卵・大豆製品・乳製品に多く含まれます。筋肉量を増やしたい場合は体重1kgあたり、1.2〜1.5gとると良いです。
※体重60kgの人が必要なたんぱく質は72〜90gです。

目安量
鶏ささみ肉 鶏ささみ肉(1本:約40g)
たんぱく質量:9.2g
卵 卵(Mサイズ1個:50g)
たんぱく質量:6.2g
ビタミンD:カルシウムをコントロールする栄養素で骨を強くする役割が知られていますが、最近では筋肉を強くする役割も明らかになってきています。
目標量…5.5㎍/日(目安量)※100㎍/日摂取しても問題ないといわれています。

しめじ しめじ(1房:約100g)
ビタミンD量:2.2㎍
さけ さけ(1切れ:約80g)
ビタミンD量:25.6㎍
○さいごに…
フレイル・サルコペニアは要介護状態に陥る大きな要因になるので、日常の生活場面で予防や改善に取り組むことはとても重要です。
食事面では不足しがちな栄養素を補うことが大切です。1日3食しっかり食べるようにしましょう。量が食べられない方は間食を上手に使うことをお勧めします。
食事に関して不安なことがあれば栄養指導も受け付けておりますのでお気軽にご利用ください。

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