レントゲンに写るもの

放射線のお話

健康診断などでレントゲン検査を受けたことのある方も多いかと思います。
健康診断では胸部のレントゲン写真を撮りますが、検査を受ける前に着替えをするように言われたことがあるかもしれません。それはなぜなのでしょうか。

レントゲン検査とは、目的の部位にエックス線を照射し、通過したものを画像化するものです。
骨のように硬いものはエックス線が吸収されて通過しにくく、肺(空気)のような場所はエックス線が吸収されずに通過しやすい、といったように、各臓器や器官、組織でエックス線の通過しにくさが異なり(エックス線吸収率)、その差が白黒の濃淡となって画像ができあがるのです。
また、厚みによってもエックス線の通過する量は変化します。薄いものほど黒く、厚いものほど白く写ります。

レントゲン写真X線像の色の違い

骨や肺(空気)はエックス線吸収率が他の臓器と大きく異なるので画像のコントラストを得やすいのですが、筋、脂肪、充実性臓器、液体などはエックス線吸収率が近く、コントラストが得られにくいのです。
それを画像化するために、少しでもエックス線吸収率が高い臓器では通過しにくく、逆にエックス線吸収率が低い臓器では通過しやすくなる性質のエックス線になるように出力を調整して検査を行っています。ですので、服についているものや体についているちょっとしたものでもレントゲンには写ってしまうのです。

以下のようなものはレントゲンに写ります。
・服についているもの(ボタン、ファスナー、ビーズなどの飾り、カイロ、顔料を含んだプリントなど)
・下着についているもの(ワイヤー、ホック、アジャスター、肩ひもの金具やプラスチックなど)
・体についているもの(ピアス、ネックレス、磁石、鍼(ハリ)、など)

レントゲンに写る物カイロ

このように、観察したい部分と重なると診断の妨げになってしまうため、着替えをお願いしているのです。
逆に、こういったものが写らないような検査なら、病変も写し出せないということになります。 レントゲン検査の待ち時間に、可能な限り外しておいていただけると助かります。
適正な検査が行われるよう、受診者の皆様もご協力お願い致します。

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