障害年金 〜障害者のための所得保障

役立つ福祉の話

  「年金」と一言で言いますと、老齢基礎年金のようにお年を召したかたが受け取る年金を思い浮かべることが多いでしょうか。
しかし今、若くてお元気にお仕事をされているかたでも病気やけがにより一定の障害などを抱えてしまうことは少なくなく、決して他人事ではありません。そういったときの所得を保障する障害年金の制度がありますので簡単にご紹介します。
 
【障害年金とは】

 公的年金の加入者が病気やけがによって心身に障害をきたし、日常生活や就労の面で困難が多くなった場合に受けとる年金です。

※労働災害(労災)の際に支給される年金については、労働者災害補償保険(労災保険)となりますのでご注意ください。

加入する年金制度によって受け取る条件が異なります。ここでは障害基礎年金のご紹介とさせていただきます。
【障害基礎年金(国民年金法)】

国民年金についてご説明いたします。

◎自営業者や農林水産業従事者等の被用者年金に加入していない人を対象とした年金制度として発足しました。適用事務は1960年10月から、保険料徴収は1961年4月から開始され、その後制定された「通算年金通則法」とともに国民皆年金の基盤となりました。

◎憲法第25条(生存権)に基づく法律です。

ちょっとむずかしいことばが並びました。「年金」というのは老齢・障害・死亡されたときに「国が年金を支給し所得を保障する制度」です。国民年金は20〜60歳までの人は強制加入となっています。「強制加入」ということは「守られている」と言い換えることもできますよね。加入し、その後も期間を確認することは若い方でもとても大切ですよ。
【障害基礎年金の受給条件】

・初診日:65歳未満にあること。
・障害の状態:
  障害認定日に障害等級表に定める1〜2級に該当すること。
・保険料:初診日に納付要件を満たしていること。

【利用の方法】

1)初診日を確認してみましょう。
  初診日とは障害の原因となったけがや病気で初めて医師の診察を受けた日のことです。

2)障害認定日を確認しましょう。
  初診日から1年6か月を経過した日のことです。傷病が続く場合や症状が固定した場合はその日が障害認定日になります。
 
※初診日から1年6か月を経過していなくても障害認定日となる例
  ・心臓のペースメーカー、人工弁を装着した日
  ・人工肛門、人工膀胱、人工骨頭の手術をした日
  ・失明は視力の低下に応じる。
  ・肢体の切断は創面が治癒した日
  ・人工透析ははじまってから3ケ月後。ただし東京都はシャント導入時。
  ・上記のほかに医師が「治癒した」「症状固定した」と診断した日

3)保険料納付期間を満たしているかの確認をしましょう。
  国民年金の場合初診日の属する月の前々月までに国民年金の加入期間の3分の2以上の保険料を納めていること。
また2016年3月31日までに初診日があるときは初診日の前々日までの1年間に保険料の滞納のないことを言います。
(→文章にすると大変難解なものになってしまいますので、それぞれのご加入の年金の窓口にお問い合わせいただくと一番よろしいと思います)

【年金の額】※2010年度

1級 年間792,100円×1.25(月額約82,510円)+子の加算 
2級 年間792,100円   (月額約66,008円)+子の加算

☆子の加算 
第1子・第2子 各年間227,900円、第3子以降各年間75,900円
子とは、請求時に「生存している子」若しくは「妻の胎内に胎児として存在していた子が出生した後」であり、その対象者が18歳到達年度の末日を経過していない子、または、20歳未満で障害等級1級または2級の障害者をいいます。

【さいごに】

 冒頭でお伝えしたとおり、障害年金は障害を負ってしまったかたの所得保障というとても大切な制度です。現在お元気なかたや若い方も他人事ではありません。よく御存じないかたもこういう制度が日本にきちんとあるんだ、と安心してお仕事ができるといいですね。
ただしこの制度はここに書ききれない細かい規定があります。
主治医の先生と年金の窓口などでご相談ください。

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