骨粗鬆症

検査のお話

 みなさんは骨粗鬆症とはどのような病気かご存知ですか?
骨粗鬆症は、骨量(骨の量)が減って骨がもろくなる、閉経後の女性や高齢者に
多い病気といわれており、患者数は約1300万人と推定されています。
骨粗鬆症を放置すると骨折の危険性が高まり、高齢者では
骨折から寝たきりへとつながってしまうこともあります。

一般的な人の骨
  一般的な人の骨
骨粗鬆症の人の骨
  骨粗鬆症の人の骨
 

骨というのは古くなった骨を壊して新しい骨を造るということを常に繰り返していて、この骨を壊す作用を「骨吸収」といい、骨を壊す細胞を「破骨細胞」といいます。
そして骨を造る作用を「骨形成」といい、骨を造る細胞を「骨芽細胞」といいます。
これらの細胞によって骨吸収と骨形成を繰り返すことにより、骨は新しく造り変えられその強さと健康を維持しているのです。
健康な骨は、網目状の構造をした"骨梁(こつりょう)"がぎっしり詰まっています。
しかし、骨粗鬆症になるとこの「骨梁」が細くなったり折れてしまったりして、「もろい」骨になってしまいます。


骨粗鬆症はこの骨吸収と骨形成のバランスが崩れ、骨を壊す「骨吸収」のスピードが骨を造る「骨形成」よりも速くなってしまい、「骨梁(こつりょう)」がすかすかになってしまった状態です。

骨粗鬆症になると、日常動作や転んだ時の衝撃などでも簡単に骨折することがあります。
特に骨折しやすいのは背骨、手首、太ももの付け根(大腿骨頸部)の3箇所といわれており、特に太ももの付け根の骨折は、その後寝たきりの状態になりやすく、介護が必要になってしまったりします。

 

骨粗鬆症による骨折の主な症状としては、立ち上がる時や重い物を持つ時に背中や腰が痛む、背中を下にして眠りにくい、ささいなことで骨折した、最近身長が縮んだ(気がする)、背中や腰が曲がってきたなどがあります。
これらの症状が見られたら医療機関を受診しましょう。

◇骨粗鬆症の検査◇
DXA(デキサ)法 X線を使って、「骨密度」を測定します。通常のX線撮影に比べ、放射線を浴びる量はずっと少なく、数分で検査できます。

   

MD(CXD、DIP)法: 両手(手首から先)とアルミニウム基準計をX線で撮影し、骨の透過度と基準計の透過度を比較します。
超音波法: QUS法ともいいます。素足になってかかと部分を装置にのせ、骨の中を超音波が伝わる速度を調べて骨量や骨の強さを測ります。放射線を使わないので妊婦や子供でも安心です。検診や人間ドックで使われます。
骨代謝マーカー検査: 骨の成分がどの程度血液中や尿の中に含まれているか調べます(含まれている成分の種類や量により、骨代謝の状態を調べることができます)。
※当院ではDXA(デキサ)法と骨代謝マーカー検査を行っております。
◇骨粗鬆症と診断されたら◇

 骨粗鬆症の発病には加齢や閉経以外にも食事や運動の習慣などが深く関わっていて、骨の生活習慣病とも呼ばれています。そのため、骨粗鬆症の予防には食事療法や運動療法も欠かせませんが、骨粗鬆症と診断された場合には薬が治療の中心となります。

骨粗鬆症のお薬はこちらをご覧ください (お薬の話 PART22) 
◇骨粗鬆症を予防するためには◇

 加齢に伴い骨密度は減少してしまいます。女性は閉経後に急激に骨密度が減りますが、高齢になってからも十分な骨密度を保つためには、適切な栄養素を食事に取り入れ、適度な運動で骨代謝を盛んにし、骨を強くすることを心がけましょう。

<食事>

 栄養素としては骨の材料となるカルシウム、骨代謝を盛んにするビタミンD、骨の形成を促すビタミンKを十分に摂り、また食事全体の栄養バランスやカロリー量にも配慮しましょう。高齢になると食の好みが変わったり、小食になったりしてタンパク質の摂取量は不足する傾向がありますが、タンパク質も骨の材料となり骨を丈夫にしますので意識して摂取しましょう。

 

<運動>

 運動不足は骨密度を低下させる原因になります。骨密度の低下を防止し骨密度を増加させる運動は、ウォーキング・ジョギング・エアロビクスなどが有効といわれています。 特別なことをしなくても、エレベータやエスカレーターを使わずに階段の上り下りをする、適度に太陽光を浴びながら散歩を楽しむといったことでも十分に効果があります。

 

<若いうちからの対策>

 思春期に高い骨密度を維持していると、中高年になって骨密度が低下する時期が来ても、実際に骨折するリスクを減らすことができます。 偏食や無理なダイエットなどの食習慣の乱れは健康や発育の面でも悪影響を及ぼします。 積極的なカルシウム摂取を意識し 、バランスの良い食事を心がけましょう。
運動については、中学・高校時代のクラブ活動などでの運動が、その後の骨密度に良い影響を及ぼすことが明らかとなっています。若いうちに日常的に強度の高い荷重運動を行うと強い骨がつくられるということです。
このような若いうちからの骨粗鬆症対策は、将来、骨粗鬆症に限らず多くの生活習慣病を予防するためにも役立つでしょう。

骨粗鬆症のこわいところは、自覚症状が現れにくいということです。
定期的に検診を受け、日常生活に気を配り、骨折や骨粗鬆症による寝たきりなどを防ぐようにしましょう。
※MSD株式会社HPより一部引用

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